こんにちは!
今回は、体験利用された利用者様の中で
印象に残ったことをご紹介します。
昨年、脳梗塞を発症され、
先日退院されたばかりの利用者様(左片麻痺)。
退院後は週2回の訪問リハビリを受けておられ、
下記のようなお悩みがありました。
当施設では元々保険内でのリハビリサービスを
受けている方も多く、現状に不安を抱えて、
お問い合わせいただく機会が増えております。
その中で最も気になる点は、
“適切な目標設定のもと、双方で合意・共有した上で
リハビリを進めることができているか”
という点です。
先程紹介した利用者様の大きな要望は、
「最終的に復職を目指したい」ということでした。
復職に至る過程をお話し進めていると、
現在の訪問リハビリの利用を進めていく中で、
「あれ?」、「どういうことだろう?」と
気になる点が出てきたそうです。
例えば、
- 仕事場では“杖を使用せずに移動する機会もある”が、リハビリでは“杖を使用してさらなる歩行距離の延長”を目指して歩行練習を積極的に進めている
- 支えとして麻痺した手を使用していければ、仕事の効率は上がるが、関節可動域制限や浮腫が起きないように、マッサージなどのケア対応がメインとなっている
両者で様々な背景があったとしても、
上記のように双方で目指している方向性が
異なっている可能性があると
疑問や不安などの感情が
生じてしまうかもしれません。
それでは、どうしてこのような双方での
乖離が生まれてしまったのでしょうか?
ここには「コミュニケーション」の難しさが
集約されているように思います。
利用者様の目線はどうだろう?
よくあるケースとしては、
- 「長年お世話になっているからこそ、本音を言いにくい」
- 「何か気を悪くしてしまうのではないかと思うと、伝え方に悩む」
といった相手を思いやった結果、
異なる表現が言語化されてしまう、
というケースです。
このようなケースでは目標設定を行う上で、
表面的な部分のみが汲み取られてしまうことが多く、
コミュニケーションや意思決定の難しさを痛感します。
冒頭でご紹介した体験利用者様に関しては、
「病院で入院している時の流れでそのままお願いしてしまっていたかもしれない」
「主治医には復職のことを伝えていたので、復職に向けて進めていると思っていた」
というように“理解してもらえているだろう”
と感じていたケースです。
だからこそ、「あれ?」「ん?」と
疑問に思うことが増えてきたのだと思います。
リハビリは病期によって転院や退院などで
リハビリ条件や環境が変化します。
その都度、リハビリ担当者も変化するのが一般的ではあります。
このような背景からも変化のタイミングで
都度コミュニケーションをしっかりとり、
双方で方向性を定めて合意を得ていく必要性があります。
セラピストの目線はどうだろう?
今回の体験利用者様の担当セラピストではないからこそ、
勝手なことは言えませんが、このような双方での乖離については、
個人的には予防することはできると考えています。
- 利用者様のために「何ができて、何ができないか」役割を明確にする
- コミュニケーション機会を大事にし、言葉だけでなく反応にも注意を向ける
- 対象は対個人だけでなく、家族様など周囲を取り巻く環境にも配慮する
上記を意識した上で、「何のために」という視点を
常に利用者様とも共有しながら
リハビリ展開していくことが重要と感じています。
利用者様に何をお伝えしたか
今回の体験利用者様に関しては、
至ってシンプルに「担当者とお話しして、思いをお伝えする」ことが
大きな第1歩になることをお伝えしました。
これは、本人様・家族様のコミュニケーションスキルは十分な上、
疑問や不安を抱いている内容に
矛盾がなかったところから、
「思ったことを言葉にしてみる」
という提案に至りました。
だからこそ、コミュニケーションをとった上での反応から、
下記を整理していくことをオススメしました。
- どの方向に向けて進めていくのか:目標の共有
- 保険内サービスでの限界はないか:リハビリ手段・機会の明確化
- 何をしていくか:関わる方全ての役割の明確化
その上で、当施設の利用を検討するといった過程を踏むと、
目指すべき方向性などがさらにクリアになり、
利用者様のリハビリへの能動的な姿勢を
さらに強化できると思っています。
目標設定については
妥当性(医学的妥当性・合意的妥当性・内容妥当性)が
非常に大事になりますが、
まずはコミュニケーションをとる上で
利用者様に安心してもらえる、
受け入れてもらえるような準備を
当施設では徹底できれば、という思いです。
長々となりましたが、今回のケースのように
リハビリについて感じている疑問や不安などがある方、
コミュニケーションをとる上で難しさを感じている方など、
1度ご相談いただければと思います。