こんにちは!
9月になって秋を感じ始めた中…
今週は夏が戻ってきたような暑さが枚方市を襲っていますが、皆様いかがお過ごしでしょうか?
さて、本日も脳梗塞リハビリに関してのお問い合わせがありましたので、そちらを紹介できればと思います。
先日、運動麻痺などの脳梗塞後遺症に悩まれる本人様ではなく、周囲の家族様や親戚の方から以下のようなお悩み相談がありました。
「もっと良くなってほしいのですが、なかなか動いてくれなくて…」
「本人にいくら言っても聞く耳を持ってくれなくて…」
といったお悩みは脳梗塞リハビリに限らず、よく耳にする話ですよね。
実際に、現在利用されている方の旦那様からも下記のような叱咤激励を聞く場面がありました。
「年齢とともに体力は落ちるのだから、もっと自覚持ってやらないと!」
「もっと主体的にやっていかないとダメだよ!」
脳梗塞後遺症として、運動麻痺や感覚障害、言語障害、高次脳機能障害などを認めると、どうしても家族様や周囲のフォローが必要となる場面もあります。
そんな中で、
「常にそのフォローがあることを前提に生活しないでほしい。」
今必要な手助けはするけども、もっと先を見て行動してもらいたい。」
ということが上記旦那様の根底にある思いでした。
”介護負担”というワードは近年よく見かけるようになりましたが、この負担を少なくしたい、という思いは至極当然の感情かと思います。
過去に介護負担についての記事もアップしておりますので、併せてどうぞ!
さて、これらのお悩みや家族間でのやり取りなどには「不正解」というのは存在せず、全て正しい率直な思いなのではないかと思います。
それでも「他者を変えることはできない」という言葉が存在するように難しい問題です。
今回は、双方にとっての最適解を導き出すために、家族様や周囲の方に知っていただきたい大切なことを紹介させていただきます。
脳梗塞発症後は、数多くのストレスと闘っている!
脳梗塞を発症されると、一般的には病院での急性期リハビリ・回復期リハビリを経て、退院を迎えて維持期リハビリへと移行していきます。
現在の生活に至るまで、様々な経験をされており、当事者にしか分からないお悩みや辛い出来事・ストレスなどがあるかと思います。
また、脳梗塞後遺症などを受け入れるための過程としては、「ショック期」「否認期」「混乱期」「解決への努力期」「受容期」を経ていくと考えられています。
それでも人間には個人差がつきものであり、経過の流れや要する日数はそれぞれで異なってきます。
まずは、「一人間としてストレスに適応していくためには、上記のような心理過程がある」ということを周囲では前提として把握しておく必要があるかもしれません。
この過程があるから、「〇〇をしてはいけない」「〇〇を徹底すべきだ」という極論的な話ではなく、事前に把握しておくことで準備ができ、対象となる方に自然と寄り添えるのではないか、と考えています。
また、”脳卒中後うつ病(Post Stroke Depression:PSD)”という合併症も存在しており、脳卒中患者の30%にみられるとされています。
急性期~慢性期にかけていずれの時期でもみられ、遺伝的素因、既往歴、脳損傷の大きさ・部位といった要因が発症のリスクファクターと考えられています。
このように心理面や感情的な話だけでなく、脳への損傷ダメージとしての結果として、心身のコントロールが難しくなっているケースもあります。
問題意識にズレは生じていませんか?
脳梗塞リハビリでは、問題が一つに限局しない部分が特徴的です。そのため、出現する症状も理想とする求める姿も多岐にわたるところがあります。
そこで、現状の問題点をしっかりと整理すること・共有することが大事です。
その上で重要なのが、「聴く」というコミュニケーション姿勢になります。
他者を変えることは難しいですが、聴くことで新たな気付きを双方に得られる可能性があります。
以前、「直接的に言いにくいことは紙に書き出してみると整理しやすかった」と利用者様からお聞きしたことがあり、確かにそうだな~と感じたことがありました!
実際に紙に書き出すというアウトプットの方法が表出手段のハードルを下げると同時に、書くことで意識下される、といったメリットがありそうですね✨
第三者に話を聞く、専門家に確認するという方法も大事なステップであり、脳梗塞リハビリRoomアイ・エスでも十分なヒヤリング時間を設けて応対しております!
家族様や周囲のサポートは何よりの活力!
物事を進める上で、「1人ではなかなか上手くいかない」という経験を過去にした人は多くありませんか?
私もそのうちの1人で、周囲の助けがなければ達成できなかったことが数多く存在します。
脳梗塞リハビリでも同様であり、直接的・間接的な助けは大きな力となり得ます。
冒頭で紹介したような対象となる方に対して、「呆れてしまう」「イライラしてしまう」といった素直な感情を抱き、吐き出せている(問題に向き合えている)姿というのは、正直にすごいことだと思っています。
これまでのリハビリ経験の中で、夫婦共に自主トレに励む姿やご友人と一緒になって歩行練習をする姿、メールや電話での応援などを間近で見てきましたが、サポートの形は本当に多種多様です。
「顔を見るだけでも安心する」といった発言をされる方も過去にはおられました。
「〇〇してほしい」「〇〇みたいになってほしい」といった希望から衝突する場面もあるかと思いますが、対象者からすれば大きな存在だと思います。
しっかりと折り合いをつけて、より効果的なリハビリを進行できるように当施設でも万全なサポート体制を強化していきます!
最後に…
繰り返しになりますが、「自分の思ったようになってくれない」、「もっと主体的になってほしい」といった感情や希望は全て悪いわけではありません。
人間として、大切な人が近くにいる人にとって当然の反応かと思います。
すでに問題解決へ向けたスタートラインに立てている状況なのです!あとはそのスタートをどのように切っていくか、という点を明確にしていけばいいということになります。
なかなかお話が上手く進まない方、少しでも前進したい方、ぜひともご相談お待ちしております!
出典:
1.公益財団法人長寿科学振興興財団 健康長寿ネット
https://www.tyojyu.or.jp/net/byouki/rehabilitation/shougai-juyou.html
2.文部科学省
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/clarinet/002/003/010/003.htm
3.https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjrmc/50/12/50_951/_pdf
4.https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjrmc/57/10/57_57.913/_pdf
5.https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjrmc/57/6/57_57.545/_pdf