こんにちは!
タイトルの通り、ここ最近は訪問での対応機会が増えてきております。
そこで本日は、実際に訪問した方の事例紹介をさせていただきます。
前回、前々回のブログにも訪問対応に関する内容を掲載しておりますので、それも復習しながらご紹介できればと思います。
症例紹介
年齢 | 80歳代 |
---|---|
疾患名(症状) | 脳梗塞(左片麻痺) |
介護度 | 要介護4 |
生活状況 | 移乗・トイレなど基本動作全般に介助必要(お手伝いさんが主)、移動は車椅子 |
ご利用のきっかけ | デイケアなどで歩く練習をしているが、麻痺した脚を出すのにずっと助けてもらっているので、「1人で脚を出せるようになりたい」と歩行能力の改善に強い思いがあり、ご利用を検討された。 |
ご希望 | 本人様:「1人で歩きたい、畑仕事をまたしたい」 ご家族様:「本人のやりたいことをサポートしてほしい」 |
ご利用プラン | 120分間 × 週1回 × 8回(2ヶ月間) |
自宅での訪問リハビリを導入しようと決定した理由は、以下の通りです。
① 目標共有のため
本人様のご希望はあくまで“歩行能力の改善“です。
しかし、退院して5年間の自宅生活では車椅子で過ごされており、いきなり歩行での生活を送ることは決して容易ではありません。歩行能力の改善には、生活背景も含めた改善が必要と判断し、「自宅での生活状況(=車椅子生活)」と「本人様の思い描く姿(=歩行生活)」の差を埋めていくことが重要とお話しし、ご理解いただけました。
② 現在の状態を自己認識していただくため
「現状を理解する」ことで「次なる行動」へと進むことができます。
当施設で歩行できても、自宅で同じように歩けるとは限らないのが脳梗塞後遺症の方の難しいところです。個人差はありますが、環境の影響(床面の素材、段差・敷居の有無、移動スペースの幅など)を受ける方はいらっしゃいます。その違いを知ることが普段の行動変化を見出す1歩になりうるのです。
③ 介助者様の介助方法の確認や提案のため
普段の介助方法をどのようにされているか実際に確認することも重要です。理由としては、以下が挙げられます。
■実施する環境によって、介助方法が大きく左右されるケースが多いため
当施設の多目的トイレの環境は、以下の画像の通りですが、このような広い環境が整備されている家はかなり少ないでしょう。このトイレでは介助者側のスペースも十分確保できるため、介助方法の選択肢は広がるのですが、実生活ではこの選択肢が減ってしまいます。本人様・家族様双方の身体にとって、より有効な介助方法を選定していくためにも実環境での動作評価は必須なのです。
■介助の目的がどこに設定されているか確認するため
理想的な介助は、前述したように本人様・家族様の双方に良い効果が得られることです。以下のように、どちらに視点を置くかで目的がやや変化してきます。
本人様:必要最低限の介助を受けながら、身体機能を高めていく
家族様:身体的・精神的に最小限の負担で、持続可能性の高めていく
この比重がどちらに置かれているかを把握することで生活状況の改善への道のりが決まっていきます。介助者も必ずしも家族様ではなく、ヘルパーさんやお手伝いさんにお任せされているご家庭も多く、実施する介助者によっても変化してきます。
以上のような理由があり、本症例の訪問リハビリを導入開始となりました。ここで前回のチェック項目を振り返りながら、紹介を進めていきます。
【訪問リハビリ】自宅訪問で何をチェックしているか?R3.9.22
【チェック項目】
1. カウンセリング内容と生活状況に差はないか:なし
2. 生活リズムに一貫性・習慣性はあるか:あり
■普段どこで過ごすことが多いのか:リビングのダイニングテーブルに定位置あり
■どのような動線が存在するのか:寝室・トイレ・リビングまで一直線で移動可能
■自宅内での役割は何があるのか:特になし
3. 施設内でのリハビリ意欲と差はないか:あり
休息中に眠ってしまう場面があり、リハビリ進行は施設で実施するよりも滞っていた印象がありました。家族様への指示なども多くみられ、普段の生活状況の一部を垣間見ることができました。
以上の結果をもとに、訪問リハビリにおける方針が共有されました。
目標設定の微調整:
①歩行動作の獲得を見越して、「乗り移り動作時の方向転換」の介助量軽減
→車椅子やトイレでの乗り移りにてお尻だけを回転させるだけでなく、足の踏み替えが可能となること、そのための介助方法を一定条件下で実施できること
②「車椅子に座って過ごす」以外の過ごし方を習慣化できること
→車椅子に座りながら手を伸ばすこと、手すりを用いて立ち座り練習、立った状態で右手を離したり移動したりできることなどの安全な自主練習が継続できること
リハビリ実施内容:
当施設:積極的な介助下での立ち座り・介助歩行・方向転換・乗り移り動作練習
主たる介助者に該当するお手伝いさんへの介助方法の指導
ご自宅で可能な自主練習メニューの検討・提案
ご自宅:上記動作が自宅内でも汎化されているかどうかの確認
お手伝いさんメインでの生活動作練習
結論として、訪問での対応は1ヶ月に1回で進めていくこととなり、リハビリの効果判定として自宅訪問を導入していくことに決定しました。
■現在の生活状況および身体機能
■毎週のリハビリの蓄積効果および持続性
■当施設では積極的に動作練習を重ねることができるモチベーションの高さ
これらを重要視した上で、本人様・家族様へ説明・共有した結果、当施設メインでのリハビリ展開へと決定しました。
以上が訪問リハビリ対応での1例となります。
やはりリハビリ状況に合わせて、適宜「施設およびご自宅」とスムーズに環境を変化させることができる選択肢の豊富さは自費リハビリの強みです。
連携をしっかり取りながら、目標達成に向けてともに歩んでいきましょう!