こんにちは!
月日が経つのは早いもので、今日で6月が最終日となり、Openしてからもうすぐ3ヶ月が経とうとしております。最近少しずつ施設への問い合わせが増えてきており、大変嬉しい気持ちです。
本日は、その問い合わせの中で
“手指が動かしにくく、細かな操作が難しい”
といった症状に悩まれている方がおられましたので、「当施設でどのような関わり合いができるか」を説明させていただきます。
もちろん大前提として、「どの場面」で「どのような操作」が難しいのかを紐解き、適切な目標設定を行った上での話となりますが、本日はその中でも機能的な側面に触れながらアプローチ展開を説明できればと思います。
「手」の持つ役割
手・指のことで悩まれる方は非常に多く、特に退院後の実生活でそのように感じる方が多いのではないでしょうか?
これは生活の中で手・指の役割が多いことを示しており、実際に上肢と下肢を比較すると、手には「操作」などのように複雑な動きが多く存在します。
例として、「マグカップに入ったコーヒーを飲む」という過程に対してでも下記のような流れとなります。
- (a) マグカップがどこにあるか目で見て、その位置まで手を伸ばす
- (b) コップの形状(取っ手部分)に合わせて手の形を変える
- (c) 熱くないか、傾けてこぼれてしまわないかなど安全に飲めるかどうかを確認する
- (d) マグカップを落とさないように慎重に持つ
- (e) 口元に近づけ、飲み口と口元が触れればマグカップを少しずつ傾ける
- (f) 飲み終えてマグカップを割らないように、こぼさないように置く
このようにマグカップという「道具」を操作して「飲水」することだけでも複雑な過程を経ていることになります。
なので、手・指に求められる役割は「道具」や「その時の状況」によって数多く存在し、人によって異なる部分が大きく出る部位とも言えます。
また、手指を曲げることができる・伸ばすことができるといった「運動」だけでは日常生活での動作はほぼ成立しません。目で見た情報と手のひらで感じることのできる「感覚」も手の操作には必要不可欠となります。
麻痺した手のリハビリ
脳梗塞を発症された方の大まかな症状は下記になり、アプローチすべきポイントとなります。
① 麻痺を呈したことにより「運動」が阻害されてしまう
関節がしっかりと“動く”状態、“動かされる”状態にするために関節可動域練習やストレッチ・マッサージを実施します。
② 運動が阻害された結果、動かさなくなり、筋力が低下する
まずはこの状態にならないことが重要であり、手・指のリハビリ以外の時間帯での使い方(生活の仕方や意識すべきこと)や活動量を増やすための生活背景の変化などを利用者様と検討していきます。
③ 「感覚」が分かりにくくなり、触れている物や手がどこにあるか認識しにくい
程度にもよりますが、残された感覚機能を使用し、セラピストの協力も得ながら適切な課題で脳への情報入力を促します。
ただし、単的に上記だけをアプローチするだけでは、生活の変化(=生活習慣の変化)には繋がりにくいのが現状です。
これまで担当してきた利用者様の中でYouTubeにて非常に熱心に自主練習へ励まれている方がいらっしゃいました。上記した3点も可能な範囲で自己対応できておりましたが、生活上の変化(手の使い方)が変わらず、「本当にこれであっているの?」と半信半疑になっていたと仰っておりました。
ここで大事になるのが、下記になります。
■他者からのフィードバックがある環境なのかどうか
■状態・状況に合わせた適切な課題に設定されているか
これは手・指に限った話ではありませんが、特に感覚面の要素が重要視される部位ではありますので、特に強調したい部分であります。
スポーツで例えるとコーチのような役割がセラピストに求められ、「利用者様個人が自ら問題解決に導くこと」が大切になります。
これは手・指の運動スキルが向上するためでもありますし、モチベーションの維持・向上のためでもあります。
先程紹介した利用者様もモチベーションが下がってしまった状態で当施設へ来訪されました。このような方々を少しでも救いたいという思いがあり、今回紹介させていただきました。
麻痺した手・指の可能性を感じていただくために、ぜひともあなたのお悩みをお聞かせくださいませ!
少しでもご興味がありましたら、体験プログラムよりご用意しておりますので、お気軽にお問い合わせしていただけますと幸いでございます。
理学療法士 長尾 侑治