お知らせ

脳出血後の後遺症とリハビリ【脳梗塞と一緒?】

2022.12.23

脳卒中後の麻痺といえば、

「力が勝手に入って、動かしにくい」

「力が入らず、ほとんど動かない」

このような麻痺の程度に差が出ますよね。

「そもそも脳出血と脳梗塞で症状は一緒なのか?」

「リハビリにおいて把握する必要性があることは?」

このような質問に対して

今回は、脳出血・脳梗塞といった発症機序の違いが

リハビリへ与える影響について説明します。

特に「脳出血」に着目していきます!

このブログを読むことで、以下のことが分かります!

① 脳出血と脳梗塞についてのおさらい

② 発症機序の違いと症状の差について

③ 脳出血後のリハビリで理解すべきこと

目次

(1) 脳出血と脳梗塞の違いについて

(1)-1 脳出血

 血管が破れてしまうことで脳内に血液が流出してしまう状態

(1)-2 脳梗塞

 血管が詰まり、血液が流れなくなることで、

 その先へ酸素や栄養を運べなくなってしまう状態

もちろん発生機序が異なるため、同じような治療選択にはなりません。

脳出血は、内服薬または血の塊を取り除く外科的治療が選択されます。

脳梗塞は、t-PA治療といった点滴にて血栓を溶かすことや

直接的に血栓にアプローチするカテーテル治療などが選択されます。

それでは、発症後リハビリをする上での違いはどこにあるのでしょうか?

(2) 発症機序からみた脳出血・梗塞後遺症の違い

リハビリをする上で問題となる脳出血・梗塞後遺症を

捉えるためには、以下の点が大事になります。

それは、

脳内に与えたダメージが「何によって」「どこに」生じたか

という点です。

これを把握することで

症状理解やリハビリの方向性が

定まりやすくなります。

(2)-1 出血 or 梗塞:「何によって?」

 血液が流出する出血

 血液の流れが滞る梗塞

「何によって?」というのは、もう少し発生した出血・梗塞の過程を見ていくと分かります。

  • 脳出血の場合:

 出血が生じると、血液が脳内を急激に圧迫する

 →脳が本来ある位置から飛び出てしまう(=脳ヘルニア)

 →最終的には壊死と呼ばれる細胞の死へ

  • 脳梗塞の場合:

 梗塞が生じると、血液の流れが滞り、浮腫が生じる

 →周辺の血管で修復しようとする

 →修復が難しくなると、出血同様に壊死に至る

両者とも最終的に壊死が生じる点は共通しています。

しかし、発症初期に大きな違いがあります。

「出血で滲み出て圧迫するのか?」

「梗塞で循環不良を引き起こすのか?」

この違いをもとにして、「どこに?」という点を続いて見てみましょう。

(2)-2 出血 or 梗塞:「どこに?」

人間の身体は「細胞」でできています。

その中でも脳は「神経細胞」から構成されています。

これらは電気信号を発して情報のやり取りをしています。

この情報のやりとりには、「神経線維」と呼ばれる神経細胞からの突起を利用します。

これには、いくつか種類があります。

  • 交連線維:左右の脳で連絡する線維
  • 連合線維:同側の脳内で連絡を持つ線維
  • 投射線維:脳幹・脊髄・小脳へ連絡する線維

「神経細胞「神経線維」

このどちらにダメージを負ってしまうか

これが大まかな「どこに?」という部分を指しています。

以上をまとめてみましょう。

(2)-3 脳出血と脳梗塞後の症状が成立する過程

脳出血は流出した血液によって、

まずは「神経細胞」よりも「神経線維」に悪影響を及ぼします。

例を挙げると、電気の基盤に水をかけるとショートしますよね。

これと似たような形で、出血により脳内が水浸しになると、

連絡の役割を有する「神経線維」に問題が生じてきます。

情報のやり取りが難しくなると、

筋肉に力が入りにくくなったり

筋肉の緊張を調節することが難しくなったりします。

「神経細胞」に関しては、その後の圧迫によって問題が生じ、

最終的には両者ともに問題が生じます。

一方、脳梗塞は血栓などにより血液の流れが滞ることで

「神経細胞」に酸素や栄養が届かなくなります。

そのため、「神経線維」よりも根本の「神経細胞」に悪影響を及ぼします。

その結果、情報伝達の役割を有する「神経線維」にも問題が出ます。

出血と大きく異なる点は、「周辺組織が修復を手伝ってもらえるか」です。

初期の段階では、病的な変化がはっきりしないのです。

じわじわと「神経細胞」が壊死していくことになります(梗塞の種類にもよります!)。

このように簡単にまとめると、以下のような過程になります。

脳出血:「神経線維」→徐々に「神経細胞」

脳梗塞:徐々に「神経細胞」→「神経線維」

(3) リハビリとの関連性

 脳出血において、「神経細胞」「神経線維」のどちらが

重症度に関わりやすいかというと「神経線維」になります。

脳には内包とよばれる「神経線維の通り道」が存在します。

ここに出血の影響が及ぶかどうか、で症状が大きく変わってきます。

出血の大小というよりも脳内でもどの部位に出血が影響するか

これが大事ということですね。

内包に出血が及んでいるかどうか、というのを脳画像でチェックします。

脳梗塞リハビリRoomアイ・エスでも

退院後に提供された脳画像の情報があれば、

それをもとに大まかな症状把握やリハビリ内容を検討しています。

ない場合には、症状から出血部位や範囲などを推測しています。

特にリハビリで関わる機会が多い症状としては、

痙縮といった筋緊張の異常です。

緊張をコントロールしている経路が存在し、そこに出血がかかると

痙縮が強く生じてしまうことがあります。

そのため、出血の場合は痙縮のコントロールが大事になります。

具体的なリハビリ方法については、次回紹介できればと思います。

脳出血後遺症で、

「どうしても動くと力が勝手に入ってしまう」

「うまく麻痺した手足を動かせない」

といったお悩みをお持ちの方は

ぜひとも脳梗塞リハビリRoomアイ・エスに1度ご相談いただければと思います。