こんにちは!
本日は、よく問い合わせでいただく利用者様の声をピックアップしたいと思います。
「発症してから1年以上も経つけど、本当に良くなるの?」
上記のような疑問を持たれている方は非常に多いと思いますし、自宅へ退院した後にリハビリ環境やリハビリ頻度が変化することによって「本当に良くなるのだろうか?」といったお悩みを抱える方は多いのではないでしょうか。
また、「発症してから3〜6ヶ月くらいで回復の度合いが緩やかになります」といった説明を聞いたことのある方も多く、自分の発症時期と照らし合わせて焦りなどといった感情を抱く方も少なくありません。
そこで今回は、発症後の経過日数によってリハビリの効果や内容は変わるのかどうかを説明していきます。
(1) 機能回復の過程について
脳梗塞や脳出血などで脳に損傷を受けると、損傷前後で脳活動に変化がみられます。どのような変化かというと、“損傷を受けた箇所以外の部分から機能を引き継ぐ”といった神経細胞の活動変化のことを指します。
どうしても難しい言葉が続いてしまうので、「粘土」をイメージしてみてください。
粘土はこねると塊になったり、引き延ばしたりすることができ、自由に形を変えることができます(=構造的な変化)。
また、水を含んでいると柔らかく、熱すると堅くなるといった性質もあり、粘土には「千の利用法がある」とまで言われるほど多方面で使用されています(=機能的な変化)。
上記した粘土のように神経もさまざまな形や性質に変わることで機能回復が起こると言われており、この変化は外界からの刺激(リハビリなど)によって誘発・促進されると考えられています。
(2) 発症からの時期による変化について
それでは、機能回復に必要な神経細胞の変化をもう少し深堀りしていこうと思います。前述した変化は、単一的なものではなく、経時的な変化を示すと言われております。大きく分別すると、下記の3つとなります。
- 発症〜3ヶ月(急性期):残存している神経回路の興奮性を高めて、機能回復を促進する時期
- 発症後3ヶ月〜6ヶ月(回復期):損傷とは反対側の脳との新しいネットワークを再構築する時期
- 発症後6ヶ月以降(慢性期):回復期で再構築された新しいネットワークの効率化による強化と確立される時期
簡単にまとめると、急性期は“鉄は熱いうちに打て”の状態を示しており、回復期と慢性期には新しいネットワークに移行していくといったような特徴的な経時的変化となります。
(3) リハビリの効果について
機能回復には、前述したような特徴を有しているため、その時期に求められるリハビリは変わってきます。つまり、時期に合った回復を見出していく必要性があり、それによって効果を左右していくこととなります。
当施設では、慢性期の方が対象となることが多いため、急性期〜回復期での回復を引き継いぎながら適宜修正・さらなる改善を担う必要性があります。そのため、特に下記のチェック項目を必ず確認しながらリハビリを実施しております。
■麻痺していない側の上下肢が過剰に働きすぎていないか
=杖を支える手に必要以上に力が入ってしまったり、痛みが出てしまったり・・・
■麻痺している上下肢(特に上肢)を積極的に使用していける状態か
=手を広げることはできるか、足の裏は地面に着くことはできるか
いわゆる「左右の非対称性」が非常に重要となる時期であり、脳への感覚情報を適切に正していく役割を有しております。
効果には、個人差があることは否定できませんが、
・脳の状態は常に変化しており、回復の天井はあるのかな?
・逆に回復で構築したネットワークを使用しなくなると機能低下を引き起こすのではないか
とも言われており、リハビリの必要性は高いと考えられます。
実際に慢性期でも機能的に変化を認めた方はいらっしゃいます(動きやすくなった、感覚が分かりやすくなった等)ので、積み上げてきた回復過程に気づかず“使用しなくなってしまうこと”を避けていきたいというのが当施設の思いです。
発症からの経過日数は大事な要素ですが、リハビリ効果を確定するものではありませんので、ぜひとも体験プログラムをご利用いただき、変化を感じていただければ幸いです。