お知らせ

脳梗塞後遺症 痛みを我慢していませんか?

2021.08.04

こんにちは!

8月になり、ますます暑さが際立ってきておりますが、いかがお過ごしでしょうか。
熱中症には十分注意していただきながら、お過ごしくださいませ。
さて本日は、リハビリをしていく上で関わりの深い問題である「痛み」についてです。

“身体が痛くて、何をするにもやる気が出ない”
“痛みで目が覚めてしまい、全然寝ることができずリハビリどころではない”

といった症状に悩まれている方は多いのではないでしょうか。
上記の訴えのように痛みは、そのヒトの生活の質を低下させる大きな要素となります。

骨折などによって外傷がある場合ですと、疼痛の原因は分かりやすいと思います。
しかし、脳梗塞後の疼痛原因は多岐にわたり、ピンポイントで「これが原因!」と判別することは容易ではありません。
何が要因となって、痛みを引き起こしているのか分かりにくいこともあり、「もっと動かないといけない!もっと頑張らないと・・・!」といった思考に陥りやすいです。
確かに活動量が著しく低下してしまうと、あらゆる要素で痛みが生じやすい身体になりやすいのですが、痛みがある状態で上記のような思考に陥ったとしても、いつか身体に限界がきてしまうことが多いかと思います。
そもそも良かれと思って行っていた運動や動作が、後から痛みの誘発を助長してしまっていたと気付くケースも少なくありません。
そこで本日は、脳梗塞後に生じた痛みに対する概要と、当施設で行っているリハビリ内容についてご説明します。

(1) 脳梗塞後の痛みとは?

まず痛みは、主な要因として3つに分類されます。

① 侵害受容性疼痛

  • 交通事故で骨折をしたときの痛み
  • パソコンでの事務作業を長時間続けたことによる首や肩周りの痛み

② 神経障害性疼痛

  • 歯の神経に刺激が加わったときの痛み

③ 心因性疼痛

  • 気持ちが落ち込んだり、不安なときに痛みが感じやすくなったりする

脳卒中後の疼痛として、中枢性脳卒中後疼痛(CPSP)と呼ばれる神経障害性疼痛の中でも難治に経過する代表的な慢性疼痛疾患がありますが、慢性化した疼痛に対する治療は非常に難しいところがあります。
この中でも、理学療法が最も対象となりやすい疼痛は、「侵害受容性疼痛」です。
組織の損傷を感知する受容器への侵害刺激(a.機械的刺激や物理的ストレス、b.化学刺激や発痛物質、c.温度刺激)に起因する痛みとなります。

それでは、脳梗塞後に問題となりうる侵害刺激を考えてみましょう。

■ 麻痺によって座っている姿勢を保つことがしんどい!

 =姿勢を保持している筋肉への負荷やストレスが高まっている状態

■ 指に力が入ってしまい、曲がってしまった状態から伸ばそうとすると痛い!

 =関節周囲の組織への伸張ストレスが高まっている状態

これらのような刺激を減らしていく必要性があり、そのためには適切な「姿勢や運動」が求められるということです。

(2) 当施設でのリハビリ内容

脳梗塞後の疼痛に対して、アプローチすべきポイントは下記となります。

Step1:姿勢・動作観察および分析:姿勢や動作に異常はないか

姿勢や動作を構成する筋肉に異常がある場合(力が入って抜けないことにより>硬くなったり、力が入らないことにより通常よりも柔らかくなったり)、生じてくる物理的ストレスをまずはチェックします。
特に姿勢に関しては、鏡を用いること写真を撮影することで認識しやすくなり、当施設でも積極的に導入しております。

Step2:その痛みには“再現性”があるか

姿勢や動作で生じる物理的ストレスに類似したストレスを実際に疼痛が生じている部位へ与えることで痛みの誘発があるかどうかをチェックします(圧痛のように押して痛みがあるのか、曲げ伸ばしなど短縮・伸張によって痛みがあるのか等)。
同様の痛みを感じることがあれば、その筋肉や関節などへの局所的なアプローチを開始します(徒手療法:マッサージやストレッチ、関節可動域運動など

Step3:痛みを生じさせてしまっている背景を整理する

痛みが生じている組織への即時的改善を図った段階で、その背景にある根本的な問題の解決に展開します。
ある部位の「力が入りにくくなっているのか」、「力が抜きにくくなっているのか」、「感覚が分かりにくくなっているのか」、「関節が動きにくくなっているのか」といった問題点へと導き出し、解決策を提案します
特にリハビリでの120分間以外での過ごし方が重要となりますので、生活面での指導や環境調整なども検討していきます。

上記のような流れで疼痛に対してアプローチを進めていき、経過を確認していきます。
経過確認には、管理表のようなものを用いることで変動を把握しやすくなり、当施設でも必要度に合わせて導入しております。

また、あくまで痛みは主観的な感覚となりますので、“他者からは見えない敵”となります。
それでも、個人にとっては非常に不快な感情です。
「本当に痛いの?」と思われることが嫌で表出することを諦めている方もおられます。

このような状況は、絶対に避けていかなければなりません!
痛みにお悩みの方、ぜひともあなたのお悩みをお聞かせくださいませ!

少しでもご興味がありましたら、体験プログラムよりご用意しておりますので、お気軽にお問い合わせしていただけますと幸いでございます。

理学療法士 長尾 侑治