こんにちは!理学療法士の長尾です。
本日は、当施設に車でお越しの方からよくある質問をピックアップしました。
「車を買い替えてから、乗り降りに時間が掛かって大変!」
「退院した時に教えてもらった方法が難しくなっている…?」
上記のようなお悩みから、「実際に乗り降りする姿を確認してほしい」とご依頼あるケースが多いです。
また、これは車に乗降する本人様に限らず、家族様から相談があることが多い印象があります。
そこで今回は、事例紹介も踏まえながら乗降時のチェックポイントを整理していこうと思います。
脳梗塞後の車の乗降手段は「2パターン」
移動時の動作能力に合わせて、以下の中から選択していきます。
- 歩いて移動している場合:
① 方法(ステップ台を昇る?そのまま座る?)
② 場所(助手席?後部座席?扉の右側・左側?)
- 車椅子で移動している場合:
① 方法(移乗は可能?車椅子のまま?)
② 場所(移乗する場合は、助手席?後部座席?扉の右側・左側?)
車椅子のまま乗降する場合は、スロープや回転付き座席などの福祉車両が必要なります。
そのため、今回は
「歩く」もしくは「車椅子から移乗して」、車の座席に座る方
に焦点を当てて進めていきます。
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脳梗塞後に乗る車の環境について
車は、一般的に大きさや排気量などの構造によって分類されます。
この中でも乗り降り動作に大きく関与してくるのは、
車高の高さや座席位置、手すり位置、扉の開閉方法などです。
最近では車高の低いセダンタイプの車だけでなく、車高の高いファミリータイプの大きな車などをよく見かけるようになっています。
冒頭での乗り降りの相談は、「ミニバン・ワンボックスカー」を利用されているケースがほとんどでした。
乗り降りの難易度を高める要因として、
座席の高さ、ステップ台があるかどうかは大事な要素と言えそうです。
「左片麻痺でも大きな車に乗れますか?」【事例紹介】
年齢:60歳代/性別:女性/疾患・症状:右視床出血(左片麻痺)
生活状況:自宅内は伝い歩き自立、屋外は電動車椅子移動自立
先日、ご友人から以下のような連絡があったようです。
本人様は、普段屋外へ出かける時に公共交通機関もしくは介護タクシーを利用しています。
限られた活動範囲であることに対して、色々な場所に行こう!というお誘いだったようです✨
本人様も活動範囲が広がることに対して前向きに考えておられ、「大きい車でも乗ることができますか?」とご相談がありました!
これまで車高が低いタイプの車には、乗って移動する経験がありました。
しかし、車高の高いタイプの車には乗ったことがなく、乗り方を以下のように検討していきました。
- 車の環境確認
- 乗り降り手段の検討・評価(いくつかのパターン別に動作練習)
- 実際に車の乗り降りを経験・評価
- 車の環境確認
実際の車を確認する前に、ご友人より以下の情報を送っていただきました。
実際に評価する前情報として、非常に重要な情報となりました!
これを確認したときに、以下のようなことを考えました。
・40cmの高さに足を運ばないと厳しい?何か台のような物は必要かも?
・出入り口からシートまでの奥行き次第では、助手席の方が良さそう?
・手すりの位置は助手席と後部座席では全然異なるなあ…
- 乗り降り手段の検討・いくつかのパターン別に動作練習
次に、動作評価の項目を挙げていきました。
- 40cm台に足を上げることができるか(併せて、台を使用して、20~30cmも可能かどうか)
- 座って腰掛けることができれば、高座位の保持は安定しているか(足が着かない、お尻の全面が座面に着いてない状態でも安全かどうか)
- 右手すりの位置を変更しても同様のことが可能であるか(上肢支持位置を規定させた中でも動作能力に変化はないかどうか)
その結果、台は必要であり、助手席に乗ることが安全ではないか、という判断に至りました。
- 実際に車の乗り降りを経験・評価
いざ実践です!ご友人含めて3人体制で進めていきました!
評価前にリスク説明(起こりうること)、本人様の身体特性などご友人にお伝えした中で、後部座席・助手席の両者で動作評価を進めました。
声掛けと接触介助で安全に乗り降りすることができ、乗車場所は助手席>後部座席という結果となりました。
大きな方向性は確定したため、現在はご友人への介助方法の伝達などを進めております!
以上のような流れが、当施設で行った車への乗り降り動作獲得に向けてアプローチの大枠となります。
実際にどのような練習を行ったか、という個人差ある部分についても今後紹介していければと思います!
本人様・同乗者の方が車に安定・安心して乗ることができることは、より良い外出支援になると考えております!
退院時に教えてもらった方法では対応できなくなっている、もしくはもっと楽な方法も可能だけどその方法しか知らない、というケースも十分にあり得ます。
入院中と退院後の身体状況がずっと同じということは少ないと思いますし、その時期・その状況によって方法が変わってくる動作ですよね。
また、同乗者の介助負担軽減も勿論大事となります。
気軽に外出できることによって、いつもと異なる景色を眺める・体感してみることも双方にとって非常に大事ではないかと考えております。
当施設に通っていただくということもその一環として考えており、やはり活動範囲が広がることによって得られるものは数多く存在すると思います。
ぜひとも車の乗り降りにお悩みの方は、ご相談お待ちしております!