こんにちは!脳梗塞リハビリRoomアイ・エス 理学療法士 井上です。
寒い季節から、心地よい季節。。それも束の間。。。
この先、じめじめとした梅雨やじりじりとした灼熱の季節になっていきます。
脳卒中の方に限らず、リハビリを受ける方々の中には、日々の環境、特に気候や季節による体調の変化を良し悪しお話しされることがありますよね。前回までのブログでは、生活習慣と脳卒中予防・再発の関係を例に、取り巻く環境因子と脳卒中の関連についてお話ししました。今回は、体調と環境因子の一つである季節の移り変わりとの関係を、脳卒中でのお話を含めて簡単にお話ししてみようと思います。
環境生理と体調の関係
脳卒中に限らず、一般的に季節の変化に伴って様々な体調不良を訴える場合、いろんな呼び方はあるようですが、一応これには「気象病」という名前があるようです。最近ではテレビやインターネットで気象病の話題が取り上げられるようになり、一般にも徐々に認知されてきました。もしかしたら?と思われる方もいらっしゃるかもしれません。自分が気象病?気象病になる可能性がある?かどうかについて、以下の表でセルフチェックができるようです。自分の当てはまるものにチェックをして、結果をみてみましょう。
ただ、症状があるからといって全てが気象病に当てはまるわけではありません。主治医・かかりつけ医の先生にしっかりみてもらうことが重要です!
脳卒中後遺症のしびれ感と血行障害
脳卒中、特に脳出血は、冬に起こりやすいことが知られています。一方で脳梗塞の発症は夏が多くなっています。その理由の一つに、夏は大量の汗をかくため体が脱水状態になりやすいことが言われています。また、脳卒中発症後の麻痺の出現に伴って、筋肉による血流調整の障害や循環血液量の減少、季節性の血液循環障害がしびれに影響しているとも言われています。こういった場合、手足のマッサージによる対処をする場合がありますが、しびれや血行障害の原因が脳卒中による場合、それらが脳卒中による脳のダメージが原因という理由でマッサージがあまり効果的でないとも言われています。
しかし、『マッサージは効果的でないと言い切れない』と我々は思っています。実際にマッサージ施術によって軽減される方もいます。一方で、脳損傷の部位・程度・状態により異なりますので、一概にこれが良い・悪いと決めつけることができていないのが現状(脳卒中ガイドライン)です。
さらに、血行障害については、脳へのダメージが原因であったとしても、マッサージ施術した部位に血流改善が見込めます。ある報告でも、皮膚温の調節がしびれ感軽減につながる可能性を示す報告もあります。したがって、根本的な解決策・改善策にならないかもしれませんが、対処・対症療法的に効果があると思います。
体調の変わり目は季節の変わり目?
結局のところ、「体の調子が悪いのは気候や温度変化が一番の原因」とは言い切れないのが現状ですが、「気候や温度変化は体調を崩す原因の一つ」であることは間違いありません。
我々の体内の血液は、張り巡る毛細血管から大血管の中を常に循環しています。これにより、全身の細胞に酸素・栄養の供給、または老廃物の回収などを行い全身の代謝に大きな役割を担っています。細胞の働きが弱くなると、熱産生量も減少するため、体温も下がり血管を収縮させ血流を悪くさせます。 その一つの要因として気候変動や気温変化が考えられます。気温差が激しい環境下では、思っている以上の身体への負担があります。こういった気温の寒暖差が大きいことにより、自律神経の機能が乱れ、体が疲れることを近年では「寒暖差疲労」として知られています。
寒暖差疲労のチェック項目は色々あるようで、「寒暖差疲労 チェック項目」とネット上で検索すると多く挙げられています。
大まかには「暑さ寒さが苦手」、「エアコン(冷房、暖房)が苦手」、「季節の変わり目に、体調不良になる」、「冷え症がある」などです。一度チェックしてみて体調管理の目安にしてみるのも良いのでは?
手軽にリフレッシュしてみましょ〜!手浴・足浴
ここまでお話ししたとおり、気候変動や季節の変わり目による、手の痺れや動かしにくいといった変化に直に対応効果のあるものははっきりとは言えないのが現状です。ただ、マッサージなどを行う上で、看護・介護の現場で用いられる温かいお湯を利用する手浴(しゅよく;手を丁寧に洗うこと)・足浴(そくよく;足を洗うこと)はお勧めです。これらのメリットは、入浴よりも身体への負担が少なく、気分転換や血行促進、リラクゼーション効果などが得られることです。清潔の保持だけでなく、さまざま効果が期待できます。「体温が1度上がると、基礎代謝は13%アップ」する※と言われています。
※ 厚生労働省の運動の基礎科学「運動と健康のかかわり」参照
冒頭でもお話しした通り、脳卒中の方に限らず、体調変動の良し悪しついては、気候や寒暖差などで体感される場合が多いと思います。室内・屋内にいる時は適度な空調維持、屋外では水分補給や服装による体温調節などで、血流や血圧の急な変動が起こらないよう気をつけていきましょう!